不動産投資で損益通算をしよう!PART1
早速ですが、個人で不動産投資を行う場合・・
この合計に対して所得税が課税されます。
これを「累進課税制度」と呼び、税金の計算方法は以下の通りとなります。
それでは、「不動産投資から生じる所得」とは何を指すのでしょう?
不動産投資から生じる所得は以下のような計算式になります。
つまり、「不動産投資から生じる所得=課税所得金額」であり、この課税所得金額を抑えることができれば、納税金顔は少なくなります。
以上のことから、「家賃収入」<「必要経費」となれば、△不動産投資から生じる所得」を多く計上することで納税額を抑えることが可能となります。
それでは、不動産投資の「必要経費」とは何でしょうか?
代表的な項目は以下の通りです。
これらの中でも、「管理費」は稼働中の家賃に対して発生し、「外壁/屋根塗装等の修繕」は経過年数によって発生し、「原状回復工事費」は退去によって発生します。
ですから、いつ発生するのか予想が難しく、また発生しても高額な経費になるケースが少ない為、大幅な経費計上を期待はできません。
しかし、経費として大幅に計上がコントロールできるものが一つあります。
それが「減価償却費」です。
減価償却について
不動産の建物は、「年数が経過するごとに価値が下がる」と解釈され、下がった分の価値を経費として計上できるシステムが「減価償却費」です。
「現金支出のない経費」とも言われますが、「減価償却」の対象となるのは「建物」のみで「土地」は含みません。
たとえば、1億円の不動産を購入する際、
・土地価格が7,000万円
・建物価格が3,000万円
で契約をするよりも・・
・土地価格が3,000万円
・建物価格が7,000万円
上の場合の方が、減価償却費は多く計上できます。
では、具体的に建物の減価償却を大きく計上できた場合、どのようなメリットが考えられるのでしょうか。
以下のような状況を考えてみましょう。
このように、減価償却(No5)を計上することで、所得(No6)が△900万円の赤字となり、この赤字金額が損益通算の対象金額となります。
よって・・
この計算に基づけば、不動産から生じる所得がサラリーマン給与所得を上回るマイナスとなれば、納税金額が抑えられることになります。
減価償却の償却期間
建物価格の割合を大きくしても、減価償却の計上期間、いわゆる償却期間が長ければ長いほど、節税効果は薄くなります。
ちなみに、償却期間は建物の構造ごとに異なり、これを「法定耐用年数」と呼びます。
たとえば、木造中古の償却期間の計算は以下のとおりとなります。
また、法定耐用年数を過ぎている場合・・・
よって、建物価格が3,000万円だった場合でそれぞれのケースに当てはめた場合・・・
ということで、償却期間が短いほど節税効果は高くなる、ということが分かります。
まとめ
個人投資家は不動産を購入する時、「建物」「土地」の案分交渉を希望されますが、投資家様にとっては建物の割合が大きければ「減価償却費」が多く計上でき、収支は黒字で所得は赤字、という「形」を作ることができる為です。
但し、不動産を売却する時、ほぼ建物割合が0になる為、低い土地価格のみしか売却金額にあてることができません。
そうなると、譲渡所得税が通常よりも多く発生する可能性が高まりますので、建物価格と土地価格はバランスが重要視されます。
余談ですが、マイホームを検討する時に、住宅展示場に行くとハウスメーカーの営業マンから「RC造や重量鉄骨造は耐用年数が長いから丈夫です」「RC造はどの構造よりも法定耐用年数が長く国が丈夫さを認めています」というトークをお聞きすることがあると思います。あながち間違ってもいませんが、あくまでも法定耐用年数は減価償却を計算するための数字であり、構造が強い、弱い、の「指標」ではありませんのでご注意を。