不動産投資で相続税の対策をするには?

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不動産投資が相続税対策になる理由

不動産投資は相続税対策になると言われています。

その主な理由は・・

「不動産の実勢価格(不動産が実際に売買される価格)よりも、不動産の課税評価額低い

だからです。

少し分かりにくいですよね。

それでは初めに「相続税」はどのように計算されるのかを考えてみます。

~「相続税」計算方法

1・相続や遺贈等を受けた「財産=課税評価額」を計算

2・「課税評価額」から「基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人)」を差し引き、「課税評価額総額」を計算
3・「課税評価額総額」を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものと仮定し、納付税額を計算

以上の複数ステップを経て相続税の計算は行われますが、大局的に考えると・・

課税評価額総額×税率=相続税

ですから、課税評価額総額を抑えることができれば、相続税を抑えることに繋がります。

とはいえ、課税評価額総額を低くする為に現金を使ってしまえば、大事なご家族に大切な資産を残すことができません。

つまり、相続税の節税とは・・

「資産を減らさず課税評価額を減らす」

ことが求められます。

では、そのような事が現実的に可能なのでしょうか?

今回はそんな疑問についてのお話です。

実勢価格>課税評価額とは?

例えば、現金1億円のみを相続する場合、現金1億円が相続税を計算する基、いわゆる「課税評価額」となります。

これでは、相続税の節税にはなりませんよね。

では、現金1億円で、実勢価格1億円の「不動産」を購入した場合はどうでしょうか?

上図のように、現金1億円を不動産「化」した場合、課税評価額は下記のように圧縮されます。

建物:建物の固定資産税評価額(実勢価格の70%程度)
土地:相続税路線価×敷地面積(実勢価格の80%程度)

仮に不動産価格1億円の内訳が・・・

土地価格:6,000万円 ⇒ 4,800万円 (6,000万円×80%)
建物価格:4,000万円 ⇒ 2,800万円 (4,000万円×70%)
合計金額:7,600万円

つまり、現金1億円の課税評価額が7,600万円に減額され・・・

△2,400万円(1億円-7,600万円)の節税効果

以上の節税効果が期待できることになります。

よって・・

実勢価格(不動産が実際に売買される価格)」課税評価額

この構図が出来上がれば、また、課税評価額が低ければ低い程、相続税対策として有効であると言えます。

借家権割合・借地権割合・賃借権割合とは?

現金を不動産化した場合、節税効果があることが分かりましたが、不動産化した不動産が、1棟アパート1棟マンション貸家である場合、下記の計算に基づき、さらに課税評価額を下げることができます。

~建物~

・固定資産税評価額-(固定資産税評価額×②借家権割合×③賃貸割合)

※具体例:②借家権合30%、③賃貸割合100%である場合・・

※計算式:2,800万円―(2,800万円×30%×100%)=1,960万円

~土地~

・土地評価額×(1-①借地権割合×②借家権割合×③賃貸割合)

※具体例:①借地権割合70%、②借家権合30%、③賃貸割合100%である場合・・

※計算式:4,800万円×(1-70%×30%×100%)=3,792万円

よって、1,960万円+3,792万円=5,752万円

つまり、現金1億円の課税評価額が7,600万円に減額され、更に5,752万円に減額され、

4,248万円(1億円-5,752万円)の節税効果

が期待できることになります。

① 借地権割合とは
借地として貸す土地の権利は、土地の所有者と、借りている人、で分けられます。借地権割合とは、その土地の権利のうち借地が何割を占めるかを示す数字で、国税庁が30~90%の間で定め地域によって異なります。

② 借家権とは
アパートの入居者などがその建物を借りる権利のこと。借家権割合とは、賃貸物件を相続した場合、借家権の割合分を減額することができ、全国一律で30%と設定されています。

③ 賃貸割合とは
建物床面積の合計に対して、賃貸部分の床面積が占める割合です。建物の総床面積÷使用している部分の合計面積(満室は100%)

貸家の場合の小規模宅地等の特例

現金を不動産化した不動産が貸家(1棟アパート・1棟マンション等)の場合、その敷地の評価額の一定割合を減額する特例があります。

これを「小規模宅地等の特例」といいます。

具体的な計算は以下の通りです

200㎡(約60坪)までの面積を50%減額
※200㎡を超える部分は、通常の評価方法で相続税評価額を計算。

~土地面積が200㎡以下の場合~
3,792万円×50%=1,896万円

よって、1,960万円+1,896万円=3,856万円

つまり、現金1億円の課税評価額が7,600万円に減額され、更に5,752万円に減額され、更に3,856万円に減額され、

△6,144万円(1億円-3,856万円)の節税効果

が期待できます。

まとめ

相続対策をせず相続が発生すると高額な相続税がかかりますので、不動産の活用や投資が相続税対策のポイントとなります。ただし不動産活用や不動産投資には専門家の意見が必要となり、活用方法や投資対象によって節税効果や収益性は変わります。信頼できる業者など専門家とのパートナーシップが重要になるでしょう。

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